すべって転ぶ
2日前に遡る。
公民館でリハを終え、雨上がりの濡れた階段を降りていた時のこと。
両手に荷物を持ち、バンドのメンバーとお喋りしながら
いつもの歩きなれた階段を降りていた。
暗くて視界が揺れたことにも気付かなかった。
おしりに、 ドンドンドンッ ・・・という、ものすごい衝撃が来て はじめて
「あっっすべった
」
と思った。
そのあと、背中に耐えがたい痛みを覚え、うずくまったまま動けなくなった。
私と一緒に階段を降りていたメンバーが青くなって、駆け寄ってきた。
大丈夫か、とか意識はあるか、とか打った箇所などを尋ねられたが
声が出ない。
あまりの激痛に、声が出ないのだ。こんなのは初めてだ。
歯を食いしばり、目を硬くつむって、痛みが去るのを待つしかなかった。
そうこうしてるうちに、他のメンバーも集まってきた。
階段の下で動けない私を見て、救急車を呼ぶとか呼ばないとか
話し声が聞こえた。
まずい。
ここ(公民館)はまもなく閉館する。いま救急車なんかで病院に運ばれたら、
車を置いて帰らなきゃいけないじゃないか・・・ここ遠いのに・・・。
背骨の一大事だと言うのに、なぜか頭の中は、後日車を取りに来なきゃいけない心配で
いっぱいだった。
今になってみると、なんてのん気なんだと思うが、人間は突然のトラブルに遭っても
意外と目先のことを気にするんだなぁ・・・と、可笑しく感じる。
そろそろお尻が冷たくなってきて、なんとか口が利ける状態になった頃、
ようやく気持も落ち着いてきた。
助けを借りてなんとか立ち上がり、ゆっくりだが歩くことができた。
・・・ああ、助かった。・・・かも。
背骨は、神経や脊髄とともに、頭蓋骨と骨盤以下を支える体の大黒柱だ。
これがどうにかなったら、ただじゃ済まない。
歩けたといっても、心は不安で一杯だった。
なにしろ、この痛すぎる背中のまま、自力で運転しなければならないのだ。
トホホの3文字がこれほど自分のためにある言葉だと感じたことは無かった。
シートにもたれると痛い。
だが、前のめりに座ってアクセルを踏むと、上半身の前かがみの力に
発進の時の後ろへのGが加わり、シートベルトへの反発も手伝って
わけがわからない。
非常に危険だ。
あきらめてシートに深く座って運転をしていると、これだけ道路工事ばかり繰り返している
都内の道が、意外と凸凹しているのに気付く。
振動が痛いからだ。
環七などに多くある陸橋のつなぎ目。普段はなにも気にせずに通っているが、
ひとつの陸橋に、一体いくつのつなぎ目があるんだろう。・・・痛い。
なぜこんなにあるマンホール。
1m位の、ものすごい近距離に、いくつもある。なんだよこれ。・・・痛い痛い。
古いアスファルトと新しいアスファルトとの境目。
毎年毎年、道路工事はあるってぇのに、なんで古いところは古いままなの?
うちの近所は、毎年必ず掘り返して新しくしてるよ?
どうせなら均一にしてくれ~~
近所の整形外科の外来は、水・土の午前中しかやってない。
でもって水曜の夜に打った背中は、仕事のある土曜日をスルーして
来週まで持ち越される運命になった。
でもまぁ、頭はハッキリしてるし、手足のしびれも無いし、
要自己観察ってコトで、しばらくは そ~っと動くことにしよう。
みなさんも、雨上がりの暗い階段には気をつけてくださいね。
トホホ。